【日本国内のEV販売】2024年4月のEVシェアは2.3%、台数・シェアともに減少し、2022年5月以来の水準に

記事公開:2024/5/14

喜び006_丸.jpg

皆さんおはようございます、八重さくらです!
本日は2022年5月以来の低水準となった、4月の国内のEV販売状況を解説します!

※この記事は2024年4月の情報です。最新情報はこちらから:EV販売台数の記事一覧(翌月中旬頃更新)

2024年4月の日本国内の軽自動車を含む乗用車全体の販売台数は258,762台で、2023年4月の289,525台からは10.6%減少し、COVIDによる影響を受ける前の2019年4月(314,950台)と比べるとさらに大幅な減少となった。

このうちEV(BEV+PHEV)のシェアは2.3%で、PHEVは前年の1.4%から1.2%に、BEVは2.1%から1.1%に減少した。メーカー別の台数では引き続き日産や三菱が前年から大きく減少、それぞれ-67.9%および -71.7%となった。一方で引き続きPHEVの販売が伸びたトヨタは+12.8%の増加、輸入車は+3.6%で前年とほぼ同等となった。

さらにHVは前年の43.5%から56.9%まで増加し、2024年1月から安定して過半数を上回っている。HVを含む電動車全体のシェアは 59.2%で、引き続き約6割を維持している。

日本国内の燃料別販売台数(2024年4月).png
日本国内の燃料別販売台数(2024年4月)(クリックで拡大)

・BEV:2,866台(乗用車全体の1.11%、前年比-53.97%)
・PHEV:3,040台(乗用車全体の1.17%、前年比-23.19%)
・EV(プラグイン車合計):5,906台(乗用車全体の2.28%、前年比-42.01%)

・FCV:60台(乗用車全体の0.02%、前年比+140.00%)
・ZEV合計:5,966台(乗用車全体の2.31%、前年比-41.57%)

・HV:147,283台(乗用車全体の56.92%、前年比+16.99%)
・電動車合計:153,249台(乗用車全体の59.22%、前年比+12.59%)

【本ページに掲載している販売数データのソースについて】
・登録車:一般社団法人日本自動車販売協会連合会(JADA)の燃料別販売台数(乗用車)より
・軽自動車:一般社団法人 全国軽自動車協会連合会の軽四輪車通称名別新車販売確報、及びメディア向け資料より
※シェアは上記の販売台数より独自集計
※特筆なき場合、EVはBEV(バッテリー式の完全電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)を両方を指す

販売台数とシェアの推移

2024年4月のEV販売台数は5,906台で、軽EVの納車が本格化する前の2022年4月からは増加したものの、前年の10,185台からは42.01%の大幅な減少となった。これは日産サクラ・三菱eKクロスEVが発売される前の2022年5月に次ぐ水準であり、年度末の増加からの揺り戻しとも言えるだろう。

日本国内のEV(BEV+PHEV)販売数.png
日本国内のEV(BEV+PHEV)販売数(クリックで拡大)

同期間のシェアは2.28%で、販売数と同様、大幅に減少し2022年5月と同等の水準となった。

日本国内のEV(BEV+PHEV)シェア.png
日本国内のEV(BEV+PHEV)シェア(クリックで拡大)

月推移では最多を記録した2022年~2023年と比べて減少トレンドが続き、2024年いっぱい続く可能性が高い。

日本国内のEV(BEV+PHEV)販売数 と シェア(月推移).png
日本国内のEV(BEV+PHEV)販売数とシェアの推移(クリックで拡大)

メーカーと車種

2024年4月のトップメーカーは2,094台を販売したトヨタで、日産や三菱が大きく減少したことで、2021年4月以来、3年ぶりの首位となった。前年の1,857台と比べても12.8%の増加で、プリウス、ハリアー、RAV4などのPHEVが前年の1,689台から1,883台に、bZ4XやレクサスRZ450e、UX300eなどの登録車BEVは153台から184台に増えている。また、このうち27台が2024年夏の生産終了が発表されたC+podで、こちらも前年の15台から増加した。

メーカー別EV(BEV+PHEV)販売台数(2024年4月).png
メーカー別EV(BEV+PHEV)販売台数(2024年4月)(クリックで拡大)

輸入車の内訳は不明ながら、2位はおそらく1,386台を販売した日産で、前年の4,323台と比べて67.94%の大幅な減少となった。車種別では軽自動車の「日産サクラ」が前年の2,370台から910台に、登録車の「日産リーフ」と「日産アリア」の合計は1,953台から476台に減少、いずれもJADAの通称名別順位においてTOP50にはランクインしなかった。

3位は恐らく623台を販売した三菱で、前年の2,198台からは71.66%減少した。このうち三菱eKクロスEVが前年の533台から67台に、「アウトランダーPHEV」と「エクリプスクロス」のPHEVモデルの合計は1,665台から556台に大幅に減少。こちらもJADAの通称名別順位TOP50にはランクインせず、いずれも50位の販売数(401台)に満たなかった。

なお、輸入車の1,717台のうち、JAIA(日本自動車輸入組合)の「車名別輸入車新規登録台数の推移(月別)」によるとOthersは183台で、ほぼ全数がテスラと思われる。また、電動車専業メーカーのHyundaiは前年の20台から39台に増加、BYDは91台から67台に減少した。いずれも前月(それぞれ71台、367台)と比べると大幅に減少しているが、これは4月から補助金が削減された関係と思われる。

おわりに

前月に続き、今月も既存メディアにはEV関連のデマ記事が相次いだ。ただ、自動車メーカー自ら事実を捻じ曲げる行為の影響は、メディアのデマとは比にならない。

これはトヨタのQ1決算発表での一幕だが、同社は26年に年間150万台のBEVを販売する目標を打ち出しながら、24年度は17.1万台(見込み)に留まることから、このような質問が投げかけられた。

ご存知のようにBEVとPHEVはおなじ「EV」という括りではある一方で、全く異なるものだ。仮に従来の目標を維持するならば3年間で12.8倍に引き上げる必要があり、日経は目標が見直される可能性があると報じた。

参考:トヨタのHEV販売が5年で2.4倍に拡大へ、EVはわずか17万台の低調ぶり

SNS上では「EVは技術的には簡単」という声もあるが、「出せば売れる」という訳ではないことは、今のbZ3やbZ4Xなどの販売状況が証明している。内燃機関と電池・モーターを組み合わせて効率化するHVやPHEVと、電池・モーターのみで走行するBEVでは、効率化に必要な技術は異なる。他のメーカーがこれまで数年~十数年にわたり蓄積した技術を超えるには「カイゼン」が必要であり、このような言葉尻での誤魔化しはせず、今後のBEVファクトリーなどを通じた多くのEVの車種の発売、そして「本当に売れるEV」の発売に期待したい。

コメント欄を読み込み中