テスラ用語解説【自動運転編】
記事作成:2020/10/26 最終更新:2020/12/30
皆さんおはようございます、八重さくらです!
今回は知っているようで知らない、テスラの自動運転の用語解説です!
1. AP(オートパイロット)
単に「オートパイロット」といえば、通常は以下のような運転支援機能を指す。
- レーンアシスト:周囲の障害物の表示、車線逸脱防止など
- 衝突回避アシスト:ブレーキ操作による衝突回避
- スピードアシスト:制限速度の表示、クルーズコントロールの自動設定
- オートハイビーム:先行車や対向車に合わせてハイビームを切り替え
- トラフィックアウェア クルーズコントロール:前走車との車間を維持
- オートステアリング:車線を維持
- 自動車線変更:ウィンカー操作による自動車線変更
- オートパーキング:自動後退駐車・縦列駐車
- サモン:遠隔操作による前進・後退
- スマートサモン:遠隔操作による駐車場内の移動
- オートパイロット ナビ走行:自動車専用道路での自動走行
実際にはこれらの機能がバラバラで動くわけではなく、「アクセル・ブレーキのみの支援」と「アクセル・ブレーキおよびハンドルの支援」という2種類のモードで、各機能が組み合わさって動作する。
なお、機能としてのオートパイロットほかに、車両のオプションとしてのオートパイロットを指す場合がある。これは自動車線変更やオートパーキング、サモンなどは含まない「単一車線の維持のみの運転支援(オートステアリング、トラフィックアウェア クルーズコントロール)」を指し、現在は全ての車両に標準で付属する。
2. EAP(エンハンスド・オートパイロット)
2019年頃まで存在していた車両のオプションで、FSD(完全自動運転)以外のオートパイロットの機能(自動車線変更やオートパーキング、サモンなどを含む)が利用可能である。
現在はEAPオプションはなくなり、新たに購入することは出来ない。
3. FSD(完全自動運転)
ドライバーの監視や介入を必要としない、レベル5の完全な自動運転機能、または将来これに対応するための車両のオプション。
ハードウェアは現在販売されている車両にて対応しているがソフトウェアは現在開発中で、今後ソフトウェアのアップデートにより対応を予定している。あくまで将来対応する予定の機能であり、2020年現在はFSD対応オプションを購入してもまだFSDは使用できない。
この機能を使うにはFDS対応オプションの購入のほか、車両に後述の「AP3」と呼ばれるハードウェアが搭載されている必要があるが、「AP2」「AP2.5」を搭載した車両であれば「AP3」に無償で交換可能だ。(国内でのAP3への交換は2021年の第1四半期の開始を予定している)
2020/10/21にアメリカで限定的なベータ版の配信が開始され、信号に従うことや交差点の右左折を含めてほぼ全ての操作を自動的に操作することが可能となった。ただし現時点ではまだミスすることがあるため、ドライバーの監視が必要。また、いつでも運転を代われるように準備する必要がある。(ドライバーに全責任があり、自動運転レベル2に相当)
4. AP1 / AP2 / AP2.5 / AP3(ハードウェア)
これらは全てオートパイロット用のハードウェアの世代を表していて、テスラが一番最初に導入したハードウェアがAP1、進化を繰り返し第4世代のAP3(別名:FSDハードウェア)が最新である。(正確にはAP1より前にPre-APもあったが、製造数が少ないため割愛)
【AP1 (HW1)】
AP1ではセンサーに運転支援装置の大手であるMobileye製のシステムをベースに、テスラにてカスタマイズしている。カメラ1台とレーダーと組み合わせて基本的な前車追従、車線維持機能を搭載しているが、自動車線変更などのFSDへつながる機能はない。またAP2やAP3への交換はできず、FSDには対応できない。
【AP2 (HW2) / AP2.5 (HW2.5)】
AP2、およびAP2.5では独自のセンサー(12個の超音波センサー、1つのレーダー、8台のカメラ)とNVIDIA製のチップを組み合わせてテスラが開発。センサー類はAP2からFSDに対応しており、ハードウェアをAP3に交換することでFSDに対応可能とされている。なお、AP2とAP2.5の違いは一部センサーの仕様変更、冗長性の向上などの微修正のみである。
【AP3 (HW3、FSDハードウェア)】
AP3はメインのチップからすべてテスラが独自で開発しており、消費電力を抑えながら処理能力が10倍に強化された。AP2で採用していたNVIDIA製のチップは汎用的なAI処理用だったのに対し、AP3では自動運転に特化して不要な機能を削減することで高い性能を実現。現在販売されているすべてのテスラ車に搭載されている。
名称はそれぞれHW1~HW3のように表記することがあるが、AP1~AP3と同じ意味合いとなる。また第5世代となるAP4(?)も2020年にテスト生産を開始しており、2021年の本格生産開始を目指している。
派生型としてHW3.1(ギガビット・イーサネットの追加など)、HW3.2(セミトラック向けのカメラ追加)があり、軽微な修正が加えられている。
5. LiDAR
多くの自動車メーカーや自動運転開発ベンダーはLiDARと呼ばれるセンサーを使用しており、360度の立体的な空間や人、車などの物体などを把握している。一方でテスラは高価なLiDARの代わりに360度に取り付けられた8個のカメラとAI処理を使ってLiDARと同等の機能を実現する方法を取っており、LiDARは使用しない方針である。
カメラとAI処理による処理の一例:
イーロン・マスク氏はLiDARを使用しない理由を以下のように語っており、同時にLiDARを「松葉杖のようなものだ」と表現している。
・高価で消費電力が多い
・情報量が少ない(ビニール袋とタイヤを見分けることが出来ない)
テスラの「Autonomy Day」でのカメラとAI処理で3D空間を構築するデモ:
解説する用語は随時追加する予定ですので、知りたい用語がありましたらコメントをいただければ幸いです!